The Band Wagon(バンド・ワゴン) [ミュージカル映画]
1953年作品。Metro-Goldwyn-Mayer
監督はヴィンセント・ミネリ(Vincente Minnelli)、プロデュースはアーサー・フリード(Arthur Freed)という黄金コンビで送る、フレッド・アステア(Fred Astaire)とシド・チャリース(Cyd Charisse チャリシーという表記も見かけますが、より発音に近い表記に統一します)主演作品。
1954年アカデミー賞に3部門ノミネートされました。これまたミュージカル映画の金字塔的作品で、人気作品です。
あらすじは、落ち目の映画俳優・ダンサーであるトニー(フレッド・アステア)が友人の脚本家マートン夫妻(オスカー・レバント&ナネット・ファブレイ)の新しい舞台に出演するためにブロードウェイにやって来ます。ところが、その新しい舞台は当時の人気プロデューサーであるジェフリー(ジャック・ブキャナン)によって次から次へ作り変えられ…トニーの共演者である美人バレエダンサーのギャブリエル(シド・チャリース)とも誤解から理解しあえず…舞台初日は大失敗…。そこから、トニーが中心となって建て直しを図る、というものです。
ブロードウェイの舞台を舞台にした(ややこしい…)映画なので、ミュージカル・ナンバーも舞台の演目になっているものがありますが、それ以外に何気ない日常のシーンを伝説のダンサーであるフレッド・アステアが見事にミュージカル・ナンバーに仕立て上げています。靴磨きとのリズム感溢れるナンバーから、しっとりとしたバラードに乗せて踊るバレエ(言葉よりもダンスで分かり合う二人…素敵です)など、その多様さと多彩さに圧倒されます。
この映画の序盤で歌われる「That's Entertainment」は、当時ミュージカル映画のトップ供給会社であったM-G-M(Metro-Goldwyn-Mayer)のテーマソングとなった程有名な曲です。なんと、M-G-M映画の名シーンを集めた映画「That's Entertainment」のタイトルにもなってしまった程。しかも、同コンセプトで3作も作られています。
これらは当時のスター達が、後年自分達の作品を振り返る、という構成になっています。個人的にはそれだけでもウルウル来てしまうほど…。私はほとんどの当時のスター達の没後にこれらの作品を見ていますので、当時をリアルタイムで知る方には堪えられないのではないかと、ある意味羨ましかったりします。
話を「The Band Wagon(バンド・ワゴン)」に戻します。
トニーの相手役のギャブリエル役のシド・チャリースは元々バレエをバックグラウンドにするモデル並みのプロポーションを持つダンサーで、この作品以外にも多くのミュージカル映画に出演し(ほとんどの有名なミュージカル・スターと競演している程)、その容姿に負けず劣らない美しいダンスを披露しています。この映画のラスト近くのプロダクション・ナンバーではマイケル・キッド(Michael Kidd)の斬新な振付をセクシーかつワイルドにキメていて、かっこい~です。
トニーの役柄は、ジーン・ケリーと並び称されるダンスの神様であるフレッド・アステア本人に近いのではとも言われているようです。私もリアルタイムでフレッド・アステアを知っている訳ではありませんが、完璧主義者であることや自分の信念を頑なに守る、といった点から、あながち間違いでもないのかな、と思っています。
この作品の最後に舞台出演者達がトニーにかける言葉がありますが、これは実は映画出演者達(だけではなく映画の製作に関わったスタッフ達全員)がフレッド・アステア本人に向けた言葉なんじゃないかと思っています。非常に感動的なシーンですが、そう思うと余計にジーンとしてしまいます。
この映画は堅苦しいストリーなどはないので気楽に見れて、最後には幸せな気持ちになれます。刺激的な映画に馴れた方には物足りない面もあるかもしれませんが、一流のダンス・歌が堪能できる作品ということで私の宝物の一つです。
こう書くと誤解を招きそうですが、前回紹介した「An American In Paris(巴里のアメリカ人)」よりも気軽に見れるのでは、と思います。是非、興味があれば鑑賞してみては如何でしょうか。
前回の「An American In Paris(巴里のアメリカ人)」でもいくつか古い作品故の問題を書きましたが、この作品にも当てはまります。また、「An American In Paris(巴里のアメリカ人)」では敢えて書かなかったですが、スクリーンのサイズが4×3です。この点を気にされる方は注意が必要かも知れません(それよりも内容が重要だと個人的には思いますが…)。
ミュージカル映画の感想第2弾「The Band Wagon(バンド・ワゴン)」でした。
ミュージカル好きと称しておきながら・・・
コレ見てません、すいません、すいませんorz
今度買ってきます_(._.)_
あ、プロデューサーズも今から見ます!
すいません、すいm(ry
by Chris (2006-10-15 21:11)
Chrisさん、Nice!とコメントありがとうございます。
いえいえ、お好きな映画をお好きなタイミングでご覧になればいいかと思いますよ。ミュージカル一辺倒人間の私としては是非ご覧いただきたい、とも思いますが…ミュージカル映画を漁っていけば遅かれ早かれ出会う作品だと思いますし…
by Clad (2006-10-15 21:58)